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「粉体塗装とは?」‐5分でわかる用語解説。特徴からメリットやデメリットまで

塗装

こんにちはwithHOPEの塩原です。

今回は名前はしっているけど実際のところあまり詳しくは解らないそんな粉体塗装について解説していきたいと思います。

粉体塗装とは

まず最初に粉体塗装(英語表記Powder corting パウダーコーティング)とは何なのか一言で言うと、溶剤塗装の様に液体を使わずに塗料の原料である粉を静電気の力を使って塗装したい物に付着させその後、乾燥炉で溶かしてから固める塗装方法の事を言います。

樹脂の種類はアクリルやメラミンもあればフッ素、エポキシ、塩化ビニル、ポリエチレン、ナイロンと様々な物が選べるので用途により使い分けられます。

粉を塗布して直ぐは触ると簡単に塗料がとれてしまいます。あくまでも加熱して溶かすまでは塗装は完了しません。

熱硬化性の塗料と熱可塑性の塗料があり、前者は熱重合反応により硬化し後者は溶けてから固まるだけで硬化はしないという2つの種類があります。

どちらも塗膜を容易に厚くできる事が主な特徴で、サビ防止の塗装として効果を発揮します。ガードレールや信号機などにも使われる一般的に塗装方法となります。

「焼付塗装との違いは?」というご質問を良く受けますが、塗料である粉を付着させた後に加熱して硬化させるという意味では広くは焼付塗装の一つの手法であるともいえます。

粉体塗装の種類

静電粉体塗装法

高圧発生器に繋がった塗装ガンからマイナスに帯電した粉末塗料を噴射し、アースに繋げてプラスに帯電している塗装対象物へ塗料が静電気的に引き付けられることで塗料を付着させる。

必要な量だけ塗料を用意すれば一般的に多く使われる粉体塗装方法である。

流動浸漬法

圧縮空気により巻き上げられて流動している粉末塗料の中にあらかじめ加熱しておいた塗装の対象物を入れる事で塗料を付着させる方法です。

内面と外面を同時に塗装出来るという特徴からパイプなどの塗装に使われることがあります。

粉体塗装に用いる塗料の種類

粉末状の塗料を用いる粉体塗装ですが樹脂の種類は様々で、用途に合わせて選択することができます。大きくは「熱硬化性樹脂」と「熱可塑性樹脂」を用いた塗料に分かれます。

熱硬化性樹脂は塗装後に100℃以上の高い温度で熱重合反応を起こして高い塗膜硬度を得るのに対して、熱可塑性樹脂では低い温度で溶かして塗装対象物をコーティングします。

前者は一度加熱したら二度と元の状態に戻らないのに対して、後者は再度加熱することで柔らかい状態に戻すことが出来ます。

熱硬化性樹脂を用いた塗料

エポキシは防食性に優れているため船舶の下地処理や大型鋼構造物のサビを防止する目的で使用される事が多くあります。

エポキシポリエステルはエポキシよりも対候性などの機能が劣りますが安価なため屋内の製品に幅広く使われています。

ポリエステルは対候性や耐水性に優れている事から屋外用の配電ボックスや照明またはアルミやステンレスの建材に使われます。

樹脂の種類特徴用途
エポキシ耐食性、耐薬品性大型鋼構造物、船舶、コンクリート構造物
エポキシポリエステル耐食性屋内の事務機器、家庭用品、電気部品
ポリエステル耐候性、耐水性配電ボックス、屋外照明、アルミ建材
フッ素耐候性高層ビルの外壁、大型建造物

熱可塑性樹脂を用いた塗料

熱可塑性樹脂は一般的に密着性が高く柔軟なため防食を求められる物や絶縁性を求められ物に多く使われます。

塩化ビニルやナイロンは耐食性や対候性が高いため膜厚を高くして道路資材に多く使われます。

ナイロンは摩耗性が高いため他の用品との接触が多く想定される物へ使用される事が多くあります。

特徴用途
塩化ビニル耐薬品性、耐食性、耐候性道路資材(フェンス、ガードレール、金網)
ポリエチレン耐食性、耐候性、耐摩耗性道路資材(パイプ、フェンス)、自転車かご
ナイロン耐摩耗性、密着性、絶縁性配管、ローラー鉄道部材、ショッピングカート

粉体塗装の工程

粉体塗装の方法としては、他の塗装方法と同じで塗装した物に付着している油や汚れをアルコールなどで落とした後に塗装作業を行います。

溶剤塗装と違うところとしては電極を取り付けて電気を流し静電気を発生させながら塗装を行うという事です。

塗装する物は電気を流すもの(導電性)が一般的ですが、最近では樹脂製のバンパーにも適用できるようになるなど利用範囲は広がっています。

塗料をスプレーガンで吹き付けた後で乾燥炉などで塗料を溶かし冷ます過程で固めます。

また、一部では「流動浸漬法」と呼ばれる方法も使われていますが塗膜の管理が容易なスプレーガン方式が主流となっています。

個人の方がDIYでやるためにはオーブンなどを用いるのが良いかと思います。ヒートガンでも出来なくはありませんが品質のムラに繋がります。

参考資料(PDF):樹脂も金属も、革新静電塗装! その効果と原理

粉体塗装の特徴

粉体塗装の特徴として高膜厚が挙げられ100μmを超える塗膜を容易に得ることが出来ます。これは溶剤塗装の膜厚の3倍程度であり余熱方式を用いる事でさらに何倍もの膜厚を得ることも可能になります。

粉体塗装のメリット・デメリット

粉体塗装については膜厚を上げられ防錆効果が高い等の特徴以外にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリット

①一度の塗装で高い膜厚を得られる
②塗料のロスが少なく使用量を抑えられる
③有機溶剤を使わないため環境に優しい

デメリット

①静電塗装の設備が必要になる
②膜厚を薄くすることが難しい
③塗装する対象物が限られる(導電性、耐熱性)

粉体塗装は一度の塗装で高い膜厚を得られる事から「サビ塗装」と呼ばれるほど高いコーティング性のを発揮できるメリットがあります。

しかし一方で、特殊な設備が必要であったり静電塗装の原理を用いることから塗装の対象物が導電性であること、また塗装後に焼付が必要な事から耐熱性が必要になります。

ただし、冒頭でも述べた様に現在では自動車のバンパーなど樹脂製品にも使えるように技術の開発が進んできている事も確かです。

また、溶剤塗装に比べると表面の微小な凹凸をコントロールすることが難しいことから鏡面塗装などのフラットな塗装面を得たい場合には不向きと塗装となります。

まとめ

如何だったでしょうか?

防錆効果が高く剥がれにくさもあるため、自動車部品などにも使われている粉体塗装ですがやはり一長一短もあり使う場所により最適な塗装方法を選ぶことが重要になります。

粉体塗装の事でお困りの際にはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡下さい。